パウロの演説1 「イスラエル国の同胞たちよ。そして、指導者の皆様、私の言い分を聞いていただきたい!」 2 「!!!」 パウロがアラム語で話し始めたのを見て、しーんとしたユダヤ人たち。アラム語は、この地方に住むユダヤ人の第一言語。 3 「私は、キリキヤ州タルソ出身のユダヤ人です。タルソで育ち、ガマリエル先生のもとで祖先の掟を徹底的に教えてもらいました―― 【ガマリエル師匠はユダヤ人の中で最も有名な教師の1人だった】 ここにおられる皆さんと同じように、神を熱心に敬っていました。 4 事実、イエス王の道に従う人たちを迫害し、私のせいで死んだ人もいたほど・・・男、女、見境なく捕えては、投獄しました・・・ 5 これについては、大祭司や政府役員の方たちも証言できることです!私は、まさにその大祭司方から商業都市ダマスコにいるユダヤ人宛ての手紙を授かりました。 そこにいるイエスの従者に罰を与えるため、逮捕してエルサレムに連行する権利書です」 パウロの証、 逆鱗 に触れる6 「それはちょうどお昼のことでした。商業都市ダマスコまで後少しといったところにさしかかると突然、突き刺さるような天の光が私の辺り一面を照らしました! 7 地面に倒れ込むと、声がしました! 『サウロ、サウロ、なぜ俺を攻撃する』 8 気が動転しながらも、尋ねました! 『ど、どなたですかッ!』 すると、声の主は、 『おまえが攻撃しているナザレ村のイエスだ・・・』 9 私に同行していた者たちには、理解できない声でしたが、彼らも同じ光を目の当たりにしました。 10 私は、『どうすればいいのですか』と慌てて尋ねると、『立ち上がってダマスコへ行け。おまえのすべきことは、そこで知ることになる・・・』と、残して消えたのです・・・! 11 私は、その光によって、視力を完全に失い、同行していた者たちにダマスコまで連れて行ってもらいました。 12 ダマスコに着くと、アナニヤという男が私のもとに来ました。神を敬い、掟に従う彼は、ダマスコに住むすべてのユダヤ人に敬われている方でした。 13 彼は私にこう言いました。 『わが兄弟、サウロ・・・頭を上げ、もう一度見えるようになれ!』 アナニヤが私のところに来てそう放った途端に、パッと見えるようになったんです!! 14 さらにアナニヤは言いました。『私たちの先祖が讃えてきた神が、その計画を知る者としてあなたを遥か昔から選んでおられた。神はあなたに、救世主を見、彼の言葉を聞く特権を与えた。 15 あなたは、すべての人に対し、“神の忠実な使者”として、見聞きすることを伝える証人となる! 16 ぐずぐずしているヒマなどない。立ち上がり、イエスが救ってくれることを信じ、洗礼を受け、犯した過ちを完全に洗い流してもらうのです』 17 このあと、私はエルサレムへ帰り、神殿で祈っていると、ある聖なる幻を見ました! 18 なんとそこにイエスが現れてこう言ったのです。 『今すぐ、エルサレムを離れろ。ここにいる人たちは、おまえが語る、俺の真理を受け入れない』 19 私は言いました。 『で、でもイエス様!私は、あなたについていく者を捕え、投獄する者として、知られているんですよ・・・!あなたの信者たちを見つけ出して逮捕するために、すべてのユダヤ集会所を回り尽くしました・・・ 20 そ、それだけじゃない!あなたの証人、ステパノが殺害された時、私もステパノの死に同意してその場に立っていたんです!彼を殺害していた男たちの上着を預かり、荷物番まで名乗り出たほどです・・・』 21 しかし、イエスは私にこう言った。 『行け!!おまえを遠い、外国人のもとへ遣わす!』と・・・」 22 「こぉのぉやぁろぉ〰〰!!!こいつに生きる価値はねぇ〰〰!!!」 「うぉ――――――!!!」 パウロが最後の部分を言い終える頃には、民衆は再び怒り狂い、暴徒と化した・・・ 23 彼らは叫び続けた。 びりびりびりィ〰〰自分の服を引き裂き、砂をまき上げ、怒るさまは、野獣がごとく。―― 24 真相をつかむため、司令官はパウロを軍の建物に連行し、拷問するようにと兵士たちに命じた・・・。 なぜ民衆がこれほどまでにパウロを敵視し、怒り狂ったのか真相をつかみたかったのだ。 25 「へへへ、こいつぁいてぇぞぉ・・・」 兵士らはパウロをギュッと縛り、打ち叩く準備を整えていた。 「有罪が確定していないローマ市民を、拷問にかける権利はあるんですか・・・?」 パウロは、隊長に尋ねた。 26 「なに゛ッ!」 隊長はすぐに手を止め、すっ飛んで行った。向かうは司令官のもとだ。 「失礼します!!・・・司令官、承知の上ですか?!連行した男はローマ市民でございますぞ!」 「な、な゛にぃ・・・!!!」 27 司令官は本人の口から聞くべく、パウロのもとへやって来た。 「答えるんだ・・・。あなたは、本当にローマ市民なのか?」 「はい」 28 「私は、ローマ市民になるために大金をはたいたんだ・・・!」 「私は生まれながらのローマ市民です」 29 兵士らは、すぐさま予定していた拷問から手を引き、パウロを解放した・・・それでも不安がつきまとう司令官。 なんせ、有罪判決の下されてない、ローマ市民権保持者をすでに鎖で縛りあげてしまっていたからだ。 サドカイ派とパリサイ派のパウロ取り合いっこ30 翌日―― なぜパウロがユダヤ人たちに告訴されたか知ろうと腹を決めた司令官は、大祭司らをはじめとする、最高議会のメンツ一堂を召集した。 パウロの鎖は解かれ、最高議会の前に立たされた・・・・・・ |
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