使徒行伝 23 - ALIVEバイブル: 新約聖書1 そこには議員が勢ぞろいで座っている・・・緊迫した空気の中、パウロが口を開いた。 「同胞のみなさん、私は良心に違わず、神の前で恥じのない生き方を心がけて今日この日まで生きてきました・・・」 2 「そやつの口を打てぃ」 大祭司アナニヤは、話の最中にパウロのそばに立つ者へ命じた。 3 すかさずパウロは―― 「あなたは神によって打たれる。汚れた壁に上塗りされた白いペンキのように、上辺だけの“あなたを”だ。掟にのっとって裁く席に座っているあなたが、私を打てだと?掟を破っているのは“あなた”ではないか・・・!!!」 4 「神様に選ばれし大祭司を侮辱するとは、どういうことだッ!!!」 強く反応したのはパウロの側に立つ者。 5 「兄弟よ、この方が大祭司だとは知りませんでした・・・確かに『あなたの民の指導者を、悪く言ってはならない』と聖書にある・・・」―― 【聖書:出エジプト記22:28より引用】 6 周りを見渡すパウロ。(なるほど・・・)この議会に、サドカイ派とパリサイ派の者たちがいることを見て突然大声を発した。 「兄弟よッ!!!私も、私の父もパリサイ派!私は今、人が死から復活することを信じるがゆえに裁きにかけられているのだ!!!」 7 その途端! %+:★¥※◎△・・・・・・!!! パリサイ派とサドカイ派の間で大きな言い争いが起き、議会が真っ二つになったではないか! 8 サドカイ派――死後の世界がないと信じている。死んだ人は、体を持って生き返ることもなければ、天使やら霊の見えない姿として生き返ることさえないと。 パリサイ派――死後の世界があると信じていた。体を持ってか、天使や霊などの形は問わず生き返ると。 9 だんだんと大きくなるユダヤ人たちの声・・・パリサイ派の掟の学者が数人立ち上がった。 「私どもには、この男を咎めるに値する罪状は見当たりません!きっと、天使、あるいは霊に語られたのでしょう!」 10 「なんですとォ〰〰!」 「わたせぃ!!!」 「いーや、こっちにわたせぃ!!!」 オオオ〰〰!!! 「こ、このままじゃ引き裂かれてしまう!直ちに確保しろッ!」 「はッ!」 議論は闘いへと発展し、パウロの体がバラバラに引き裂かれてしまうのではないかと、気が気ではなかった司令官は兵士に命じた。下りていってユダヤ人からパウロを引き離し、軍の建物にかくまうようにと。 11 次の日の夜―― 王・イエス本人がパウロのそばに現れた・・・ 「――勇敢であれッ!俺についてエルサレムの民によく語った!首都ローマでも同じように語るんだ――!!!」 パウロ暗殺計画 12 翌朝―― 小鳥のさえずりが聞こえてくる中、ヒソヒソと何かを企む人影が・・・ それは、パウロを殺そうと計画するユダヤ人の集団だった・・・! 彼らは、神に誓った。パウロを殺すまでは断じて、飲み食いをしないと。 13 この計画にたずさわったのは、40人強。 14 誓いを立てたユダヤ人グループの中から数人、計画遂行のために祭司たちやユダヤ長老のもとへ出向いた―― 「お邪魔します」 「何事だね・・・?」 「我々は、パウロを殺すまでは飲み食いしないと誓いました・・・! 15 そこでお願いが・・・最高議会のみなさまから司令官に伝えていただきたいのです。 『もう少しだけパウロに質問したいことがある』 と言って、みなさんのところへ導き出してほしいのです。彼が連行される道中、我々が待ち伏せしてあの無礼者を殺してみせます・・・!」 16 (な、なんだって!!!)この場には、パウロの甥もいた。甥はすぐさま、パウロがいる兵営に駆けて行った。 「た、大変だよ、おじさん!」 「どうした・・・?」 うん、うん・・・・・・ パウロの甥は、見聞きしたことをすべて、洗いざらい伝えた。 17 「隊長殿」 「なんだ?」 パウロは1人の百人隊長を呼び寄せた。 「この青年を司令官のもとへ連れて行ってください。司令官宛ての言伝があります」 18 百人隊長はパウロの甥を、司令官のもとへ連れて行った―― 「失礼します!」 「どうした?」 「はい、獄中のパウロより、この青年を閣下のもとへ連れて行くよう、頼まれました!なんでも言伝があるとのことです」 「はい、司令官と内密にお話しがしたいのですが・・・」 「よかろう」 19 青年を連れた司令官は、2人になれる場所へ移った。 「話とは?」 20 「明日、数人のユダヤ指導者がパウロを議会に連れてくるようにと司令官に願い出ます。先日に続き、パウロに質問をしたいと言いますが、この願い出には裏があります・・・! 21 彼らを信用しないでください!!!40人を超える者たちがパウロを待ち伏せし、殺す策略です! パウロを殺すまでは飲み食いしないと、神に誓いを立てているほどです!彼らに残るは、あなたの許可のみです・・・!」 22 「いいか、やつらの策略を打ち明けたことは、ここだけの話だ・・・!」 司令官は、青年を送り出すと同時に事の重大さが身にしみた。 400名の兵士に護送されるパウロ 23 司令官は2人の百人隊長を呼んだ。 「今晩9時、パウロを連れ、港湾都市カイザリヤへ向かう。歩兵を200名、騎兵を70名、また槍兵を200名同行させる準備を整えろ。 24 パウロがペリクス総督のもとへ無事届けられるように、彼が乗る馬を数頭用意しておけ!」 「はッ!」 25 司令官はパウロの件を手紙にしてペリクス総督に宛てた―― 26 ――手紙―― クラウディオ・ルシヤよりペリクス閣下へ ごあいさつ申し上げます。 27 ユダヤ人たちがパウロを捕え、殺害しようとしました。しかし、彼がローマ市民であることが判明したため、兵士らと共に彼を救出した次第でございます。 28 彼らがなぜ、パウロを責めていたのかを知るため、ユダヤ指導者を集めた議会にパウロを連れていきました。 29 分かったことは次の通りでございます。ユダヤ人たちは、パウロが過ちを犯したと主張しましたが、それはユダヤ人独自の掟に関する事柄であり、投獄や死刑に相当するものではありませんでした。 30 ユダヤ人たちが彼の殺害を企てていることを知ったため、彼を閣下のもとへ送ることにしました。 また、彼を責め立てているユダヤ人たちには、直々に閣下を訪ね、訴えるようにと言い送りました。 ――おしまい―― 31 その夜―― ザッザッザッ・・・・・・ 指示に従った兵士たちは、パウロを都アンテパトリスへ連れて行った。神殿の都エルサレムと港湾都市カイザリヤの間にある都だ。 32 翌日―― 「それでは、我々はここで失礼する」 70名の騎兵隊以外の槍兵と歩兵たち計400名の兵士は神殿の都エルサレムの兵営へ引き返した。 33 70名の騎兵隊はパウロと共に港湾都市カイザリヤに入り、ペリクス総督のもとに着いた。 港湾都市カイザリヤ―― 「ペリクス閣下!司令官クラウディオ・ルシヤより、ペリクス閣下宛てのお便りを預かっております!」 総督に手紙を渡し、パウロを彼の前に立たせた。 34 「ふむ、どれどれ・・・」 手紙を読み終えた総督はパウロに尋ねた。 「そなたはどこ出身だ?」 「キリキヤ州です」 「なるほど、 35 そなたについては、起訴するユダヤ人たちが来てから聞くことにしよう。この者をヘロデ総督の宮殿へ案内し、かくまっておきなさい」 「はッ!!」 |
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