毒ヘビに噛まれるパウロ1 マルタ島―― イタリヤ州南部にあるシシリー島から、さらに南へ100㎞ほど離れた島であった。漂着後、マルタ島であることをつきとめた。 2 現地の人は私たちにとても親切にしてくれた。雨が降って寒い時は、彼らが火を焚いて全員をもてなしてくれた。 3 ――火を焚くため、枝を集めては火にくべていたパウロ。 シャ〰〰〰〰!!! 「!!!」 パウロの手に毒ヘビが噛みついたではないか! 枝に隠れていたが熱で飛び出してきたのだ。 4 「この人は、さ、殺人犯に違いない!!!海では生き延びたが、正義の女神が彼の“生”を求めておらぬ・・・!!!」 島の民はパウロの手にぶら下がった毒ヘビを見てそう言った。 5 「ん?」 パウロは何事もなかったように、ヘビを火の中に振り落とした。 6 島人は思った。今にも彼の手が腫れ上がり、苦しむか、倒れて死んでしまうだろうと。しかし、いくら待ってもパウロに変化がない・・・ 「こっ、この人は神様だッ!!!」 「う、うおぉぉぉ!!!」 島人の考えはぐるりと一変。 7 そこの近くに、島一の権力者ポプリオというローマ人の敷地があった。 ――島一の権力者ポプリオ―― 彼が私たちを自宅に招いてくれたので、そこに3日間滞在した。私たちがいる間、とてもよくしてくれた。 8 ところで、島一の権力者ポプリオの父親は、重い病を患っていた。辛い発熱と下痢に苦しんでいたのだ。 パウロが彼を訪ね、父親の上に手を置いて祈ると、その重い病が治った! 9 この一件があってからというもの、島のあらゆる病人がこぞってパウロのもとに来たので、来る者拒まず治してあげたのだった―― 10 3ヵ月の滞在を終えて出発の準備ができると、島人は、パウロたちにさまざまなものを捧げ、敬意を示した。 首都ローマ突入!11 再出発―― 私たちが乗船したのは、冬の間マルタ島に停泊していたエジプトの首都・アレキサンドリヤから来た船だ。船首にはギリシャ神話の双子の神・カストールとポルックスの像が付いている。 12 そこからの旅路はこうだ――マルタ島→160㎞→シシリー島首都シラクサに3日間滞在→ 13 イタリヤ州南部にある港湾都市レギオンにたどり着いた―― 翌日に南西風が吹き始めたおかげで、すぐに出航できた。日中にはイタリヤ州の港湾都市ポテオリに到着―― 14 そこで何人かのイエスの信者たちに会った。彼らに推され、彼らのもとに1週間滞在した後、遂に到着したのは、 ローマの首都―― 15 ローマの首都にいるイエスの従者たちは、私たちの到着を耳にした。 私たちがまだ、アピア街道のポロ市場にいる時、約50㎞北にあるローマ市街からイエスの兄弟姉妹のグループがわざわざ迎えに来てくれた。 また、ローマ市街から50㎞ほど離れた街、三ッ宿まで迎えに来てくれた人たちもいた―― 【タベルネは、旅の者の休憩場所として、宿やお店が密集した場所だ】 パウロはイエスの信者たちに会えたことを神に感謝した。とっても励まされ、勇気づけられたからだ。 首都ローマでのパウロ16 世界の中心都市ローマに到着―― パウロは1人で生活することが許された。ただし、護衛が1人、共に住むことになった。 17 3日後―― パウロはユダヤ人の有力者たちを呼び集めて話した―― 「兄弟たち、私は同胞であるユダヤ人にも、先祖のしきたりに対してだって何1つ、反することはしていない。それにも関わらず、エルサレムで捕えられ、ローマ人の手に引き渡された。 18 彼らは私を尋問したが、死刑に値する理由を何1つ見つけることができなかった。故に、私を釈放する方向で準備を進めていた。 19 しかし、その場にいたユダヤ人がこれに猛反発した為、私はカイザル帝王に上訴すべく、首都ローマに来ざるを得なくなったという訳なんだ。 私は、同胞を何かの過ちで訴えようとしているのではない。 20 だからこそ、こうしてあなたがたと会って、話をしたかった。私は、イスラエル国の希望を信じているがゆえに、鎖につながれているのだ・・・!」 21 首都ローマのユダヤ指導者たちはパウロに答えた。 「私たちはユダヤ地方から、あなたに注意するような手紙は受け取っていません。それらの地を訪れたユダヤ人から何の報告も受けていませんし、いかなる悪い噂も耳にしていない! 22 だから我々は、あなたの話を聞きたい・・・この新しいグループについて悪く言う人がどこにでもいるということは、我々もよく知っていますから」 23 パウロとその他のユダヤ人たちは、別に日を設けて会うことにし、その日には、前回よりも多くのローマ市民のユダヤ指導者がパウロの家に集まった。 パウロは丸一日かけて彼らに語り、神の王国について説き明かした。 掟と預言の書を用いて、そこに記されている救世主がイエスであり、神の約束が成し遂げられたことを彼らに教え、確信へ導いたのだった。 24 パウロの言うことを、あるユダヤ人は信じ、ある者は信じない。 25 彼らの間で言い争いが生じ、立ち去る寸前のこと。パウロはこう付け加えた―― 「あなたがたの先祖に対し、預言者イザヤを通して神の霊が語ったことは真だった。それは、 26 『この民のところに行って語れ。 あなたは聞くところまで聞くが、決して悟ることはない。 あなたは見るところまでは見るが、本当の意味では見えない。 27 この民は悟ることができない。 耳はふさがり、目は閉じているからだ。 目があっても見えず、耳があっても聞こえず、頭があっても理解ができない。 もし、悟ることがあれば、彼らは私に立ち返る。 そうすれば、私は間違いなく、彼らを癒そう』―― 【聖書:イザヤ書6:9-10より引用】 28 あなたがたユダヤ人に言っておきますが、神は救いの手を、外国人へ送られた。彼らは耳を傾けて聞くからだ・・・!!!」 29 ポールはこれを言った後、ユダヤ人はまだお互いに大きな議論を残していた―― 【後世のギリシャ語の使徒の写本の中には、29節も付け加えている】 30 さて、それからというもの、パウロは自分で借りた家に2年住んだ。 ――「パウロさーん、こんにちは!」 「どうもこんにちは!」 「おぉ、よく来たな、ささ、座った座った・・・」 「ハハハハハハっ・・・・・・」 ――2年の間、自分を訪ねてくる人を、いつでも、そして誰彼構わず歓迎したパウロであった。 31 訪れた者に神の王国と救世主である王・イエスについて教えた。パウロは、大胆に語り続けたが、止める者は、誰もいなかった。 |
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