港の 都 コリントで受ける究極の励まし1 都アテネを後にしたパウロが次にたどり着いた地は港の都コリント―― 【ギリシャ州の政治と商業の中心都市であると同時に、水商売など、道徳に反する問題が横行する都だった】 2 この都で、イタリヤ州から港の都コリントへ最近引っ越してきたという夫婦に出会った。旦那は、ポント地方出身のユダヤ人アクラ。奥さんの名はプリスカ。 ――「どうしてコリントへ?」 「クラウデオ帝が首都ローマに住むユダヤ人をみーんな強制追放したもんで・・・」 そんな話をきっかけにパウロは、夫婦の家を訪ねることに。 3 奇遇にもこの夫婦は、パウロと同じ、革細工職人だった。そんなこともあり、住み込みで働き、共に汗を流した。 4 休日には必ずユダヤ集会所に出向き、ユダヤ人に限らず、ギリシャ人にも熱心にイエスのことを伝えたパウロ。 5 シラスと、混血のテモテもマケドニヤ州から合流した後、尽くせる限りの時間を費やし、神の言葉を広めることに尽力した。そう・・・全ユダヤ人にイエスこそが救世主だと宣言し、確信してもらうべく伝え続けたのだ。 6 「なぁんだそりゃ、俺にゃあ関係ねぇ話だ」 全く聞く耳をもたず、パウロを侮辱するユダヤ人・・・ ――パンッパンッ 「あなた方の“救い”はあなた方自身の責任だ!私は手を尽くした!もうユダヤ人のもとには行かない・・・!!」 パウロは、縁をきっぱり切るしるしとして、自身の手で両肩のちりを払い落とすしぐさと共に警告し、 7 ユダヤ集会所を後にした。 ――さて、ユダヤ集会所の隣には、神を心から敬い、従っていたテテオ・ユストという外国人の家があった。パウロは、そこに招かれたのでしばらく滞在することにした。 8 ユダヤ集会所の会堂長クリスポとその一家を始め、港の都コリント市民の多くがイエスを信じる決断をし、洗礼を受けた。 9 その夜のこと―― パウロの聖なる幻にイエスが現れた。 「――恐れるな!あきらめずに人々へ語れ! 10 俺が一緒なんだ。おまえに危害を加えられる者はいない。この町には、俺につく者が大勢いる――」 11 力強く励まされたパウロはそれから1年半の間、港の都コリントに滞在し、神のメッセージについて教え続けた。 ガリオ総督の知らん顔12 ストア派の哲学者、ネストの兄弟ガリオがアカヤ州の総督に就任することになった―― 【現在のギリシャ国】 すると、ユダヤ人たちはみんな一緒になってパウロに襲いかかり、総督のところに引っ張って行ったのだった―― 【ストア派といえば禁欲主義などで有名だ】 13 ――「総督!こやつがローマ法に反するやり方で多くの人に神様を礼拝するよう説いております!」 ガリオ総督に申し立てるユダヤ人たち。 14 対するパウロが反論しようとした瞬間―― 「いいか、ユダヤ人諸君。犯罪やその他の事件に関する訴えならば私も喜んで耳を傾けよう。 15 しかしだ!単なる言葉の解釈や、この人に対する批判、あるいは諸君独自の宗教規則に関する論争であるなら、自分で解決しろ。私には関係ないし、関わりたくもないわ!!!」 16 スバッと言い放ったガリオ総督は彼らを裁判所から追っ払った―― 17 彼らは腹いせにユダヤ集会所会堂長ソステネをひっ捕え、裁判所の外で袋叩きにした。それでも、気にも留めなかったガリオ総督。 パウロの旅は続く18 この出来事のあとも、パウロはイエスの信者と共に、しばらく港の都コリントにとどまった。 時は流れ―― 港の都コリントへ別れを告げると、次なる目的地シリヤ州へと舵を取った。もちろんプリスカ、アクラ夫婦も一緒に。航海の途中、港町ケンクレヤで神への誓いとして、ユダヤ人のならわしで髪を剃った―― 【髪を剃ること、それは神に対する特別な誓約を捧げた者。すなわち“ナジル人”の誓いのしるしだった】 19 一行が次にたどり着いたのは、港の都エペソ―― 「私たちもここでお別れです・・・」 旅を共にしてきたプリスカ、アクラ夫婦をこの都市に残す決断を下したパウロ。エペソ滞在中も、パウロはユダヤ集会所へ足を運んでは、ユダヤ人たちにひたすら話をした。 20 ――「もう少し残って、ここで話を聞かせてください」 求める彼らに対し、パウロが首を縦に振ることはなかった。 21 「神が導くとき、また戻る!」 満面の笑顔でその言葉を残し、パウロは港の都エペソを出航した。 22 パウロは次に港湾都市カイザリヤに→そしてエルサレム教会を訪問し→三大都市アンテオケへと向かった→ 23 旅の舞台は大きく飛んで→三大都市アンテオケ→ガラテヤ州→フルギヤ州へと進んでいく・・・ しばらくの間、三大都市アンテオケに滞在してからは、各地方の国から国、町から町へといった具合に、西へ西へと進んだパウロ。 訪問地でイエスの従者たちを訪ねては、彼らがより強くイエスを信頼できるように施した。 情熱の男“アポロ”24 舞台は再び港の都エペソ―― あるユダヤ人の男が訪れていた・・・ エジプトの首都・アレキサンドリヤ出身。聖書に精通し、同時にメッセンジャーとしても有能であった男、アポロ。 25 アポロはイエス王の道を教わっており、イエスについて語る時といったら神の霊によって燃えていた。 彼の話は正しかったが、洗礼者ヨハネの洗礼しか知らなかった。 26 自信に満ち、ユダヤ集会所で大胆に語るアポロ。それを、あのプリスカ、アクラ夫婦が耳にした。 アポロを自宅に招いた2人は、救いの道、神の計画について正確に、そして分かりやすく伝えたのだった。 27 「海の反対岸にあるアカヤ州へ進もうと思う・・・」 アポロの口から出たその思いに港の都エペソのイエスの従者たちは賛成した。アカヤ州までの順調な旅路の手筈を整えた。アポロがたどり着いた時に困ることの無いよう、現地のイエスの従者たちに、“アポロをよろしく頼む”とつづった手紙を送った―― 彼がアカヤ州にたどり着くと、そこの教会を励ますためにすべてをささげたのだった。神の恵みのおかげで、それはそれは大きな助けとなった。 28 「・・・・・・聖書にはこうある!」 公の場で、ユダヤ人たちの誤りに大胆に反対したアポロ。聖書の言葉を引用しながらユダヤ人の誤った考え、習慣をズバズバと指摘し、イエスこそが救世主であることを証明していった。 |
© 2017 Bible League International
Bible League International