ところが、行ってみると、どうでしょう。一人のエジプト人が、イスラエル人を虐待しているではありませんか。モーセはイスラエル人をかばおうとの一心から、相手のエジプト人を殺してしまいました。
やがて、モーセはりっぱに成人しました。ある日、彼が同胞のヘブル人を訪ねた時、そこで目にしたのは、あまりにもひどい苦役でした。エジプト人が一人のヘブル人をなぐっているのを見て、同胞の苦しみを知ったモーセの血が騒ぎました。自分と同じヘブル人が痛めつけられているのを見過ごしにできませんでした。
急いであたりを見回し、だれも見ていないのを確かめると、そのエジプト人を殺して砂の中に隠しました。
四十歳の誕生日が近づいたある日、モーセは、同胞のイスラエル人のところへ行ってみよう、と思い立ちました。
モーセは、イスラエル人を助けるために神が自分を遣わされていることを、みなが認めてくれるものと思い込んでいましたが、現実はそうではありませんでした。
昨日、あのエジプト人を殺したみたいに、おれまでも殺そうとするのか。』