こう言うと、ヨセフはベニヤミンを抱きしめて涙にくれました。ベニヤミンも泣きました。
それから、ラケルに口づけしました。あまりうれしくて気持ちが高ぶり、とうとう泣きだしたほどです。
それを見たエサウは走り寄って出迎え、弟をきつく抱きしめると、愛情を込めて口づけをしました。感激のあまり、二人は涙にくれるばかりです。
ヨセフはいたたまれなくなり、部屋を出て一人きりになれる場所を探して泣きました。ひとしきり泣くと、また戻り、兄たちの中からシメオンを選んで、みなの見ている前で縛り上げました。
ここまで言うのがやっとでした。あまりのなつかしさに胸がいっぱいになり、涙がこみ上げてきたのです。あわてて部屋を出て寝室に駆け込み、思いきり泣きました。
彼はほかの兄弟一人一人にも同じようにしました。その時になって、ようやく兄弟たちは口がきけるようになりました。
そのとたん、ヨセフはこらえきれなくなって、あたりはばからず泣きだしました。泣き声は屋敷中に聞こえ、その知らせがすぐ王宮にまで伝えられるほどでした。
ヨセフは馬車で駆けつけ、父親を出迎えました。二人はしっかり抱き合ってただ泣くばかりです。
決心がつくと、彼は父親のもとに帰って行きました。ところが、家まではまだ遠く離れていたというのに、父親は息子の姿をいち早く見つけたのです。『あれが帰って来た。かわいそうに、あんなみすぼらしいなりで。』こう思うと、じっと待ってなどいられません。走り寄って抱きしめ、口づけしました。
また、わきまえがなく、平気で約束を破り、情け知らずで不親切な者となりました。