「あの人が家族のことをしつこく聞くので、しかたがなかったのです。お父さんが元気かどうか知りたがっていたし、ほかに弟はいないのかと尋ねるものだから、『いる』と答えたのです。『その弟を連れて来るように』などと言われようとは、夢にも思わなかったのです。」みな口々に弁解しました。
私どもはみな兄弟で、正直な者です。スパイだなんてありえません。」
「恐れながら申し上げます。私どもは十二人兄弟で、父親はカナンの地におります。末の弟は父の家に残りました。もう一人は死んでしまいましたが……。」
ヨセフはみなにその後のことを尋ねました。「で、おまえたちの父親はどうしているのだね。この前も聞いたが、まだ達者なのか？」
しかし、ユダが口をはさみました。「忘れたのですか、お父さん。『弟といっしょでなければ来てはならない』とあの人が言ったのは、決してただの脅しではないのですよ。ベニヤミンがいっしょでなければ、あそこへは行けません。」
「ああ、なぜおまえたちは、弟がもう一人いるなどと言ってしまったのだ。私をこんな目に会わせおって。」
この前の時、父親や弟がいるかとのお尋ねでしたので、
