この二十年間、ずっとですよ。十四年間は二人の娘さんを頂くため、六年間はあなたの群れの世話をして自分の群れを手に入れるため。おまけに、報酬は何度も減らされたのです。
ほとぼりが冷めるまで、しばらくお世話になるといいわ。
ラバンが言いました。「ヤコブ、甥だからといって、ただで働いてくれることはないんだよ。遠慮しなくていい。どんな報酬がほしいかね。」
報酬が不足なら、上げてやってもいい。ここにいてくれるなら、おまえの望む額を喜んで出そうじゃないか。」
この二十年間というもの、私はあなたのために働き通しでした。雌羊や雌やぎの世話に明け暮れ、丈夫な子がたくさん生まれるようにしました。それでも自分が食べるためにと、雄羊一匹だってあなたのものに手をつけたことはありません。
昼は焼けつくような日ざしの中で、夜は夜で、寒さに震えて眠ることもできないままに働きました。
おまえたちも知っているように、私はお義父さんのために、今まで一生懸命に働いてきた。
ところが、お義父さんのほうでは、私のことなど少しも考えてくれなかった。報酬のことも、お義父さんは何度も何度も約束を破ったのだ。これまで害されることなく無事にやってこられたのは、ひとえに神様が助けてくださったおかげだと思っている。
「兄さん、おひさしぶりです。ヤコブです。長い間ごぶさたしましたが、お変わりありませんか。私は最近まで伯父のラバンのもとに身を寄せていました。
今の私があるのは、あふれるほどに注がれた神の恵みとあわれみによるのです。この恵みとあわれみは、むだではありませんでした。なぜなら、私はほかのどの使徒たちよりも働いてきたからです。けれども、実際に働いたのは私ではなく、私のうちにある神の恵みです。
幾度も長い苦しい旅をし、川がはんらんしたり、強盗に襲われたり、同国人からも外国人からも迫害されたりして、何度も危険な目に会いました。町々では暴徒に取り囲まれ、荒野や嵐の海でやっと命びろいしたこともあります。クリスチャンだと自称しながら、実はそうでない人たちに苦しめられたこともあります。