さてこの町には、長年、魔術を行ってきた人がいました。シモンと言い、持ち前の不思議な力で人々を驚かせていたので、サマリヤ地方でたいへんな影響力を持っていました。メシヤではないかと言われたこともしばしばでした。
王も負けじと、魔術を行う呪術師を呼び寄せ、彼らも魔法で同じことをしました。
しかしエジプトの魔術師たちも、秘術を用いて水を血に変えて見せたので、ファラオはかたくなな心を変えず、モーセとアロンには耳を貸そうとしませんでした。やはり主が言ったとおりです。
魔術師たちにもできものができ、とてもモーセの前に出られません。
わたしの代わりに霊媒や口寄せなどに頼る者からもわたしは顔をそむけ、イスラエルから断つ。
自分の意見だけをまくし立てる人は、実はわが身がほめられたい一心なのです。しかし自分をお遣わしになった方の栄誉を求める人は、正直者です。
そのあと、町から町へと島中を巡り歩いて教えを語り、最後にパポスという町に来ました。そこで、偽預言者でバルイエスと名乗る魔術師に出会いました。彼は総督のセルギオ・パウロの取り巻きの一人でした。総督自身は物事に明るい、たいへん理解のある人で、かねがね神の教えを聞きたいと思っていたので、バルナバとパウロとを招きました。
ところが、バルイエスは二人に強く反対しました。パウロやバルナバのことばに耳を傾けないようにそそのかし、何としても、総督に主を信じさせまいとしました。
しばらく前のことになりますが、チゥダという男の事件を覚えておいででしょうか。その男がいかにも偉大な人物のように見せかけたため、四百人ほどの者が仲間になりましたね。ところが結局、当の本人は殺され、一味も散り散りばらばらになりました。
彼は、神と名のつくものにはことごとく反抗し、また、礼拝の対象をすべて打ちこわします。そして神殿に入って神の座につき、自分こそ神だと宣言します。
自分だけを愛し、また、お金がすべてだと考える風潮がはびこります。その時人々は、高慢な者、大言壮語する者、神をあざける者、両親に従わない者、感謝することを知らない者、神を恐れない者になり、
教会に出席していたとしても、聞いたことを何一つ信じようとしないのです。目をしっかり開けて、そんな人たちには近寄らないようにしなさい。
彼らは臆面もなく、やっとの思いで罪の生活から足を洗った人たちを、肉の欲望や誘惑によって、もう一度罪に誘い込もうとしているのです。
神から離れた者、魔術師、不道徳な者、人殺し、偶像崇拝者、好んで偽りを行う者は、都の外に出されます。