事件を起こしたのは、デメテリオという銀細工人です。この男は職人を大ぜい雇い、ギリシヤの女神アルテミスの神殿の模型作りを手広くやっていました。
ある日、川岸の祈り場に行く途中、私たちは悪霊につかれた、若い女奴隷の占い師に出会いました。彼女の占いのおかげで、主人たちは甘い汁をいっぱい吸っていたのです。
面白くないのは、この女の主人たちです。もうふところに金がころがり込むあてがなくなったので、その腹いせにパウロとシラスをつかまえ、広場にいる長官(ローマの植民地執政官)たちの前へ引きずって行き、口々に訴えました。
この男が、自分のところの職人や同業者を集めて、こう演説をぶったのです。「皆さん。私たちは神殿の模型作りで食べています。
もしデメテリオや職人たちが二人を訴えたいのなら、法廷があるのだから、裁判官の前に持ち出せばいいのです。何事も法律にのっとって進めてもらいたいものです。