事件が一段落すると、パウロは聖霊の導きで、ギリシヤを回ってからエルサレムに帰ることにしました。あとでローマへも行くつもりでした。それをはっきりさせると、
主の許しがなければ、だれもあなたに、 あれほどひどい仕打ちをするはずがありません。
そしてついに、マケドニヤの国境から少し入った、ローマの植民地ピリピに到着し、数日の間そこにいました。
しかし、ガリオがアカヤ地方の総督（ローマから属州に派遣された行政長官）に就任すると、ユダヤ人は徒党を組んでパウロに反抗し、力ずくで総督のところへ引っぱって行き、
まず助手のテモテとエラストとをギリシヤへやり、自分は、なおしばらくアジヤ州にとどまりました。
たちまち町中は大混乱に陥りました。人々は、パウロに同行したガイオとアリスタルコの二人をむりやり引っ立て、円形劇場へなだれ込みました。
パウロは、できれば五旬節の祭りまでにはエルサレムへ行こうと先を急いでいたので、エペソには立ち寄らないつもりでした。
今、聖霊が、どうにも逆らえない強い力で、私をエルサレムへ行かせるのです。そこで何が待ち受けているか見当もつきません。
エルサレムのクリスチャンたちは、私たちを心から歓迎してくれました。
上陸すると、クリスチャンを捜し出し、一週間ほどいっしょに過ごしました。この町のクリスチャンは聖霊に示されたので、どうにかしてパウロにエルサレム行きを思いとどまらせようとしました。
その夜、主がパウロのそばに立って、こう言われました。「パウロよ。心配はいらない。あなたは、このエルサレムでと同じように、ローマでもわたしのことを人々に証言するのだ。」
ようやく船でローマに向かう手はずが整い、数人の囚人といっしょに、パウロはユリアスという親衛隊の士官に引き渡されました。
『恐れることはない。パウロ。あなたはまちがいなく、カイザルの前で裁判を受けるのです。そればかりか、神はあなたの願いを聞き届け、同船の人たち全員のいのちも救ってくださいます。』
ローマに着くと、パウロは、兵士の監視のもとではありましたが、好きな所に住んでもよいことになりました。
どうしても行きたいと望むのは、信仰をいくらかでも分かち、あなたがたの教会が、主にあって強められるために役立ちたいからです。それだけでなく、私も皆さんの助けが必要です。あなたがたの信仰によって、私も力づけてもらいたいのです。こうして、私たちは互いに励まし合えるでしょう。
愛する皆さん。私がこれまでに何度も、あなたがたのところへ行こうとしたことをぜひ知っていただきたいのです。ほかの国の諸教会と同じように、あなたがたのところでも成果を得たいと思ったのです。しかし、その計画は妨げられてきました。
ですから、何とかして、ローマにいるあなたがたのところにも福音を伝えたいと、心の底から願っているのです。
私は、まずマケドニヤに行ってから、あなたがたを訪問する予定です。マケドニヤには、ちょっと立ち寄るだけです。
しかし、もし主のお許しがあれば、私はすぐにでも行くつもりです。そうすれば、その高慢な人たちが、ただ大きなことを言っているだけか、それとも、ほんとうに神の力を持っているのかがわかるでしょう。
そして私たちは、さらに遠くの町々、まだだれも働いていない町々にまで、福音を宣べ伝えたいのです。そうすれば、だれかの領域を荒らしたというような問題は起きないでしょう。
それから十四年たって、私はもう一度、エルサレムに上りました。その時はバルナバもいっしょで、テトスも同行させました。
こうしてあなたがたは、マケドニヤとアカヤ中のクリスチャンの模範となりました。
