こう叫んだのは、イエスが悪霊に、出て行けとお命じになったからです。今までは、悪霊が何度も男に取りつくので、鎖でしっかり縛りつけておいたのですが、どんなに太い鎖でも、男はいつもそれを引きちぎり、荒野へ逃げてしまうのでした。
男はイエスを見るやいなや、恐ろしい叫び声をあげて、その場に倒れました。「おれをどうしようというんだ! いと高き神の子イエスよ。お願いだから苦しめないでくれ!」
「あなたの名前は?」とイエスが尋ねると、悪霊は、「レギオン(ローマ軍の一軍団で多数を意味する)だ」と答えました。男には何千という悪霊が入り込んでいたからです。
ひとたび悪霊が取りつくと、大声で叫びだし、ひきつけを起こして口からあわを吹かせ、なかなか離れようとしません。
少年が近寄ると、悪霊はその子を押し倒し、激しくひきつけさせました。イエスは悪霊に出て行けと命じ、すっかり元気になった少年を、父親の手に返してやりました。