野ろばが鳴くのは、草がないからだ。 飼い葉のあるうちは、牛もおとなしくしているものだ。 食べ物に塩気がなければ、人は苦情を言う。 生卵の白身ほどまずいものはない。 見るだけで食欲がなくなり、 食べるところを想像するだけで吐き気がする。
らくだのためのわらや餌も十分ありますし、お客様用のお部屋もございます。」
だれが野ろばを野生にしたか。
山や丘が彼らの牧場だ。 彼らはそこで、ありとあらゆる緑の草を探す。
そのひと言で、 家畜の食べる柔らかい草が生え、 人の糧となる果樹や野菜、それに穀物も育ちます。
ああ神よ。鹿が水をあえぎ求めるように、 私はあなたを慕い求めます。
野ろばは裸の丘に立ち、 のどの渇いた山犬のように肩で息をする。 目を大きく開けて草を探し求めるが、 一本の草も見つからない。」