もう一度イエスを官邸へ連れ戻し、尋ねました。「おまえはいったい、どこから来たのだ。」しかし、イエスはひとこともお答えになりません。
彼は痛めつけられ、苦しみ悩みました。 それでも、ひと言も語りませんでした。 子羊のようにおとなしくほふり場へ引いて行かれ、 毛を刈り取られる羊のように、 非難を浴びせる者たちの前に黙って立ちました。
それでもなお、イエスは黙っていました。大祭司は続けました。「生ける神の御名によって命じる。あなたは神の子キリストなのかどうか。さあ、はっきり答えてみなさい。」
兵士たちはまず、イエスを兵営に連れて行き、全部隊を召集すると、
ヘロデはイエスを前にして、次から次へと質問をあびせました。ところがイエスは口をつぐみ、何一つ答えません。
カヤパの取り調べはその朝早く終わり、今度はローマ総督(ユダヤを統治する行政長官)の番です。訴える人々は、イエスを総督官邸まで連れて行きましたが、中に入ろうとしません。ユダヤ教のおきてでは、異教徒の家に入ることはたいへん汚らわしいことだったのです。そんなことをしたら身が汚れて、過越の食事が食べられなくなるからです。
ピラトは官邸内に戻ると、イエスを呼び寄せて尋ねました。「おまえはユダヤ人の王か。どうなのだ。」
「あなたの言う王とは、普通の意味での王ですか。それとも、ユダヤ人の言う王でしょうか。」
「なんだと、それじゃあ、やっぱりおまえは王なんだな!」「いかにもそのとおりです。わたしは、この世に真理を伝えるために生まれたのです。真理を愛する者はみな、わたしに従うのです。」
ピラトはさらに問い詰めます。「何も言わないのか。わからんやつだな。私の命令ひとつで、おまえを釈放することも、十字架につけることもできるのだぞ。」
そのことばを聞くと、ピラトはますますこわくなりました。
「わたしはありのままを言っているのです。うそでも、でたらめでもありません。自分がどこから来てどこへ行くか、よくわかっています。ところが、あなたがたは全然わかっていません。
敵対する者たちのどんなしわざにもたじろぐことがないと。そのことは彼らの滅びを暗示するのですが、あなたがたにとっては、神が共にいて永遠のいのちを与えてくださることの確かな証拠となります。
マノアの妻は夫のもとへ駆けつけ、一部始終を話しました。「神様からのお使いが来られたの。天使に違いありません。あまりに神々しくて、まともに見ることもできなかったわ。どちらからいらしたのか、お尋ねもできなかったし、その方も名をお告げにならなかったの。