イエスはまた舟に乗り込みました。悪霊につかれていた男が、「ぜひお伴を」と願いましたが、
しかし今では、これほどよくしてくださった主に、 どのようにお返しをすればよいのか迷っています。
このイエスの奇跡の評判は、ガリラヤの外にまで広がったので、シリヤのような遠方からも、人々は病人を連れてやって来ました。悪霊につかれた人、てんかんの人、中風(脳の出血などによる半身不随、手足のまひ等の症状)の人など、その病気や苦しみがどのようなものであろうと、一人残らず治るのです。
たちまちイエスの回りは黒山の人だかりとなり、しかも、うわさの男は、服を着て、すっかり正気に戻って座っているではありませんか。人々は恐ろしくなりました。
初めからこの出来事を目撃していた人たちが、みんなに一部始終を説明しました。
それを聞くと、人々はイエスに、かかわりあいになりたくないから、どこかへ行ってほしいと願い始めたのです。
その時です。イエスは男に取りついている悪霊に、「悪霊よ、出て行きなさい」とお命じになりました。すると悪霊は、ぞっとするような声で、「おれを、どうしようというんだ。頼むから、苦しめないでくれ! いと高き神の子、イエスよ」とわめきたてました。