「いかんいかん。王子が死んだことなど、良い知らせとは言えない。おまえには、また別の機会に働いてもらおう。」
ツァドクの子アヒマアツが申し出ました。「この吉報を王様にお伝えする役目を、ぜひとも私に仰せつけください。主が敵アブシャロムの手から救い出してくださったのですから。」
こう言うと、ヨアブは一人のクシュ人に命じました。「さあ、行ってくれ。見たとおりを王様にお知らせするのだ。」男はヨアブに一礼すると、すぐに走りだしました。
「最初に来るのは、ツァドクの息子アヒマアツのようです。」 「あれはいいやつだ。悪い知らせなど持って来るはずがない。」
「それで、アブシャロムはどうした。無事なのか。」 「ヨアブ将軍からこの使いをことづかりました際、何か騒ぎがあったようで叫び声を耳にしましたが、くわしいことは知りません。」
すると王の目から涙があふれ、彼は門の屋上に上り、そこで泣き叫びました。「ああ、アブシャロムよ。わが子、アブシャロム! こんなことなら、私が代わって死ねばよかった。ああ、アブシャロム。ああ、わが子よ!」
王はヨアブ、アビシャイ、イタイに、「私に免じて、あの若いアブシャロムには、手ごころを加えてやってくれ」と命じました。全兵士は、王が指揮官たちにそう命じるのを聞いていました。
王がアブシャロムのために悲嘆にくれているという知らせが、やがてヨアブのもとにも届きました。