「すいません!動けない友達がいるんです、通してくださいッ!!」 「頼む!通してくれッ!!!」 「・・・・・・ク、クソォ!こんなに人がいちゃあ、どうやっても入れねぇ」 「絶対に治してやっからな・・・!」 「み、みんな・・・ありがとう・・・」 お目当てのイエスがいる家は人でごった返し。入口が完全に防がれていた。 「ち、ちくしょう・・・こーなったら!」 ――よーいしょ!よし、そぉっとだ。 諦める気などその目からは微塵も感じられない。何を思い立ったのか、布団に乗せた友人を担いで屋根にあがった。 屋根に登ると、今度は他人の家の天井をはぎ始めるではないか! ガサガサガサ・・・ 「ん、ネズミか?」 「お、おい上を見てみろッ!」 中にいた人たちは、イエスの頭上を見ると、男たちが屋根をせっせとはいでいるではないか・・・ 大きく開いたのは天井だけでなく家主の口。男たちは、群衆の中に麻痺した友人を布団ごとつり下ろし、イエスの前に置いた。