使徒行伝 16 - ALIVEバイブル: 新約聖書混血 のテモテ 1 ―― 【キリキヤ州からの旅路】 港の都タルソへ進み→約160㎞西へ→ここでルカオニヤ地方に突入→都デルベ→さらに約160㎞西へ進んでたどり着いたのは、 丘の町ルステラ―― ここの町人に、イエスについて学ぶ混血のテモテという男がいた。 母はユダヤ人であり、イスラエル国の神を信じる者であったが、父はギリシャ人だった。 2 ルステラの隣、都イコニオムに住むイエスの従者たちの間で混血のテモテが話題になれば、長所しか挙がらないほど評判のいい男だった。 3 パウロは混血のテモテを旅の供として連れて行きたいと思ったが、気がかりがあった。その地方に住むユダヤ人たちは、彼の父がギリシャ人、すなわち外国人であることを知っていたのだ―― 【つまり、ユダヤ人の象徴である割礼を赤子の時に受けていないことはユダヤ人の間で知られていたのだ】 ――「最良を期すためだ・・・」 ユダヤ人たちの気を損なわないため、パウロは混血のテモテに割礼を勧めると、テモテは進んでそれを受けた―― 【掟では、外国人や混血との交わりを持つべきでないとあったため、せめてユダヤ人の象徴である割礼を受けさせたのだ】 晴れて混血のテモテは、シラスに続いて旅の仲間として迎えられた。 4 さて、パウロ一味は、町々を通っては、神殿の都エルサレムの使徒と長老たちが外国人用につづった取り決めの手紙を配って回った。 5 これを通し、その地方にある教会たちの確信はさらに強まり、イエスの信者の数は日々、増えていったのであった。 あっちかそれともあっち、いやこっち! 6 パウロ一味は、アジヤ州を突っ切るのではなく、フルギヤ/ガラテヤ州周辺を進む北ルートを選んだ。 これには事情があった・・・アジヤ州で最高な知らせを広めようとしたところ、神の霊が止めたのだ。神の霊は別の計画を用意していた―― 【アジヤ州は現代のトルコ地方に位置する】 7 およそ200㎞進んだムシヤ州の国境―― ここを越えればビテニヤ州・・・いざ! 「―!―」 進もうとした途端に、イエスの魂がひき止めた。こっちでもないようだ・・・。 8 そこで西のムシヤ州を突っ切って、エーゲ海の港町トロアスへ向かった。 9 ――おや・・・?何やら物欲しげにパウロに迫ってくる男がいる。彼は、マケドニヤ州からはるばるパウロに会いに来たようだ。 ――マケドニヤの地にいる我々をお助けください―― 彼はそこに突っ立ったまま、懇願してくる。 ――バサッ・・・!はぁはぁ・・・ そう、これはパウロの夢の中の出来事だった。 10 ――「出発だぁぁぁ!!!」 パウロが聖なる幻を見たあと、私たちはすぐさまマケドニヤ州に向けて出発の準備を始めた―― 【ここから、筆者ルカが旅の供に加わった】 私たちは、察した。神は初めから私たちをこの地に呼んでいたのだと。そこの人々へ最高な知らせを広めてほしいのだと。いざ、海の向こうの地、マケドニヤへ。 紫布 のルデヤ 11 ―― 【エーゲ海沿岸の航海】 港町トロアス→サモトラケ島→港の都ナポリ→ 航路と陸路を駆使し、出発の翌日には港の都ナポリに到着した。 そう、マケドニヤ州へ突入したのだ! 12 そして隣の都へ足を進めた―― そこは、ローマ帝国の植民地であり、イタリヤ州とその東側を結ぶ交通の大動脈、イグナティア街道上にあった。 その名も、ピリピの都―― パウロの一味は数日間そこに滞在することにした。 13 休日―― 私たちは祈るのにちょうどよさそうな場所があるだろうと、都の門を出て、郊外の川沿いへ向かった。 すると、川辺には女たちがたむろしているではないか。 ――こんにちはッ!よっこらしょっと・・・ 私たちはそこへ腰を下ろして彼女たちの会話にまざった。 14 その中に神を心から敬う女がいた。 ――紫布のルデヤ―― アジヤ州・テアテラの都出身、紫布販売を生業としていた。 そんな彼女がパウロの話を聞いているときだった・・・ 「―!―」 イエス様が彼女の心を開いた! おかげで、彼女はパウロの一言一句を受け入れることができたのだ。 15 それからはトントン拍子。彼女を含めた一家全員がそばの川で洗礼を受けたのである! そして、紫布のルデヤは、私たちを家に招いてくれた。 ――「いいでしょ!もし、あたしが真のイエス様の信者だと思うのなら、わが家に泊まってって!」 彼女は私たちにそう勧めてきたので、宿を借りることにした。 賛美中の開錠 16 ある日のこと―― いつもの場所へ祈りに向かっていた。 「・・・チョット、ソコノオ兄サン方」 「?」 話しかけてきたのは若い女召使。 ――占い師―― 特別な知識を持つ悪魔に取り憑かれた女は、その力で占いをし、雇い主たちの懐を肥やしていた。 17 そんな占い師は、パウロとその一味である私たちを追っかけ回してきた。それだけではない・・・ 「ミ〰〰ナサマ、コノオ方タチハ・・・イト高キ神ノ使イ!救ワレル方法を説イテクレマスヨォ・・・!!!」 こう叫んでは、叫んで、叫び続けるのだ。 18 最初はシカトしていたが、こんなことが何日もしつこく続いた・・・ そんなある日、パウロの眉間にしわが寄った。 「イエス・救世主の権威によって命ずる!彼女の中から出なさい!!!」 我慢ならなかったパウロがそう命じると、悪魔は一瞬にして彼女から出ていった! 19 「ん・・・?」 しかし、その様子を見ていたのは、占い師の主人である。 「くら゛ぁぁぁ!よくも人の金づるを〰〰!!!」 怒った主人らはパウロとシラスをひっ捕え、役人のいる公共広場まで引きずり、 20 訴えた。 「お役人殿ぉー!こいつらはユダヤ人のくせして、我らの都ピリピで騒ぎを起こし、 21 ローマ市民として禁じられていることをするようにと教え回ってるんですッ!!!」 22 「!」 平凡に生活していたはずの民衆がガラッと敵になり、瞬く間にブーイングの嵐―― 「や、役人殿・・・」 「ムチ打ちだぁぁぁ!!こいつらの服をはげッ!!!」 口を開こうとするパウロたちの声をかき消すように命じた。 びりりりりりり・・・・・・ パウロたちに発言の余地なし。 23 ベシッ!スパンッ!!バシッ!!!ぐあ゛ぁぁぁぁぁ・・・・・・ ――ドスッ! 政府の役人は、2人を岩と鉄格子で囲われた牢獄に投げ込んだ。 「おい!厳重に見張っとけ!」 「はッ」 そして、こう看守に釘を刺した―― 24 (ふぅ、念には念だ・・・) さっそく看守は、牢獄の奥深くにパウロとシラスを閉じ込め、木でできた大きな足かせをはめ、拘束した。 25 あたりも静まり、時刻は真夜中になろうかというころ、パウロとシラスは祈り、神を褒めたたえて歌った・・・♪ 響きわたる歌声に聞き入っていたのは、他でもない牢獄にいるすべての囚人であった! 26 ガタガタガタ・・・・・・!!! 突然、牢獄の土台が激しく揺れ動くほどの強い地震があった! ガチャン、ガチャン、ガチャン、ガコン・・・・・・ なんと格子の扉という扉すべてが開き、囚人全員の手錠や足かせが解けたではないか! 27 zzZ――・・・ 「ん・・・ん゛、ほあーあ!?地震だっ!!」 看守が監視を任されていた牢獄の扉も開いてしまっていた。 「・・・・・・おっ・・・おわ・・・終わりだ・・・!!!」 彼は全囚人が逃げたと思い、絶望した。 (こ、殺される・・・ならいっそのこと、ここで・・・みんな・・・ずまん・・・) 目を固く閉じ、冷たい剣先を自分に押し当てようとしたその時・・・ 28 「早まるなッ!!!誰1人逃げてはいない!」 29 「!」 「い゛、明がり・・・あ、明かりだッ!!」 「はッ!」 部下が明かりを持ってくると、牢獄の中に駆け込んだ看守。その体は恐れでブルブルと震えていた―― 「ヒ、ヒィ――」 パウロとシラスを見つけるやいなや、勢いよく2人の前に土下座した。 30 看守は、他の囚人に聞こえないところまで2人を連れていくと―― 「頼む、何をしたら助けてくれる・・・?」―― 【囚人が逃げ出したら、首が飛ぶため、看守はパウロたちと交渉しようとした】 31 「信じろ!天地の王・イエスを。そうすれば、助かるばかりか、一家共々救われる・・・!!!」 32-34 ――イツツツツっ・・・す!すまん・・・ 夜は遅かったが、看守はパウロとシラスの傷を手当した。 それから看守の自宅に招かれた。パウロとシラスは、看守のみならず、一家全員にイエスのことを語り伝えると、一家そろって洗礼を受けたのである! それから、看守は2人に食事を振る舞った。一家全員が笑い、喜び、幸せでいっぱい。神を信じきったからである。 35 翌朝―― 「あの者たちを釈放せよ」と看守長の家まで行って伝えてこい 「はッ」 そう警察官に伝えたのはローマ帝国役人。 36 その知らせを受け、看守が嬉しげにパウロたちのもとへやってきた。 「彼らは役人殿より“指令”を授かって来た警察官たちです・・・・・・では指令を申し上げます・・・しゃ、『釈放』ですッ!!安心してお帰り下さい!!!」 37 「・・・そんなわけにはいかない」 (パ、パウロさん?!) パウロは警察官たちを見た。 「あの役人たちは、ローマ市民である我らに非があるかどうかを調べもせず、公の場で滅多打ちにした後、牢にぶちこんだ。そのあげくの果てには、速やかにお帰りくださいだと?ふざけてはいけない・・・政府の役人たち本人の足でここまで来て、その手で外へ案内していただこう」―― 【ローマ市民は、正当な裁判を受ける権利があった。ローマ市民法には、“裁判前に刑罰を与えるべからず”とあったのだ】 38 今度はパウロの言葉を政府の役人へ伝えに戻った警察官―― 「・・・彼らはローマ市民と主張しておりますッ」 「な゛・・・な゛に゛ッ?!」 政府の役人たちは青ざめた・・・ 39 そして、政府の役人自らが2人のもとへ来て謝罪し、外まで案内すると、こう頼んだ―― 「た、大変恐縮ではございますが、どうか都を去ってはいただけませんでしょうか・・・?」 40 ――牢獄から出たパウロとシラスはまず、紫布のルデヤ家に寄った。 そこで、イエスの信者たちを励まし、別れを告げたのであった。 いざ、次の地へ! |
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