「ああ、いいよ。兄さんの持っている長男の権利と引き換えなら。」
「ああ、腹ぺこで死にそうだ。その赤いシチューを一口くれないか」と言ったので、このことから、エサウは「エドム」〔「赤いもの」の意〕とも呼ばれるようになりました。
「今にも飢え死にしそうなんだよ。長男の権利なんか何の役に立つんだい。」
「ヤコブときたら、全く名前どおりだ。『だます者』〔ヤコブという名には『つかむ人』(25・26)以外に、この意味もある〕とは、よく言ったものだ。あいつは長男の権利も奪った。それだけでは足りず、今度は祝福までも盗んだってわけか。お父さん、念のため聞きますが、私のためには祝福を残してくれていないのですか。」
「いや、もうヤコブではない。神と戦い、人と戦って強さを示したのだから、イスラエルと変えるがいい。」
イスラエルの長男はルベンでしたが、彼は父のそばめの一人と寝て、父の顔に泥を塗るようなことをしたので、長子の権利は腹違いの弟ヨセフのものになりました。それで公式の系図には、ルベンが長男として記されていないのです。
さて、ヨセフには長子の権利があったものの、イスラエルのうちで最も有力な部族の先祖になったのはユダでした。このユダ部族から君主が出ることになります。
次男の母親である妻のほうを愛しているからといって、次男に長男としての財産を与えることはできません。
嫌われている母親の子でも、父親には初めての子であり、長男の権利を持っているのだから、兄に弟の二倍の財産を与えなければなりません。
また、不品行に走ったり、エサウのように神に無関心にならないよう注意しなさい。エサウは、ただ一度の食事のために、神の祝福のしるしである長子の権利を売りました。